2025年7月度 転職サイト 募集月給レポートを発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2025年7月度 転職サイト 募集月給レポート」を発表しました。

概要

内閣府が発表した「令和7年度 年次経済財政報告」では、一人当たりの名目賃金の上昇率が2024年に1991年度以来33年ぶりの高さを記録し、2025年の春季労使交渉の賃上げ率についても2024年を上回る状況となっていることが報告されました。一方で、初任給を含めた若年層では高い賃上げが実現している反面、中年層では抑制されていることなど、賃上げ幅のばらつきについても言及されています。

では、実際の転職市場における求人や募集月給の動向はどう変化しているのでしょうか。今回は、当社が収集している求人媒体の掲載情報を活用し、企業別の募集月給を分析したレポートをお届けします。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!

トピック

  • 転職市場全体での募集月給は、2025年7月までの5年半で+13.43%上昇し、28万8623円となった。
  • 企業別の募集月給ランキングでは、「グロービング株式会社」が166万6666円で1位にランクイン。その他マネージャーやディレクタークラスの求人がランクインした。
  • 業種/職種別の募集月給ランキングでは、「コンサルティング/専門事務所」が35万7897円で業種別1位、「ITエンジニア/IT系専門職」が31万8967円で職種別1位に。
  • 都道府県別の募集月給上昇率ランキングでは、「青森県」が前年比+5.59%で1位となった。

全体動向

まずは、転職市場全体での求人動向を分析します。

正社員系転職サイトにおける求人件数は、コロナ禍の影響を受けた2020年5月に前月比-15.80%と大幅に減少しました。その後、同年7月には前月比でプラスに転じ、以降はおおむね右肩上がりの成長トレンドが続いています。

2025年に入ってからは、前月比+2%を超える伸びは見られず、やや増加のペースに鈍化が見られるものの、引き続き堅調に推移しています。

2025年7月時点の求人件数は290,067件(前月比+1.34%)となり、2020年1月の90,230件から5年半で+199,837件(+221.48%)の増加となりました。

募集月給の平均を見てみると、前月比-0.26%〜+0.84%の範囲で推移しており、大きな変動はないものの着実な上昇傾向が見られます。

2025年7月時点では28万8623円(前月比+0.22%)となり、2020年1月の25万4441円と比べて+3万4182円(+13.43%)の上昇となりました。

募集月給ランキング

ここでは、正社員系転職サイトにおける募集時の月給を、企業別のランキング形式で紹介します。

1位には「グロービング株式会社」がランクインし、月給は166万6666円でした。続いて2位は「株式会社プテロン・コンサルティング」で月給150万円、3位は「株式会社レイヤーズ・コンサルティング」が141万6666円、4位は「株式会社ファーストデジタル」が140万円となっています。

5位には「KPMGコンサルティング株式会社」「カレッジコンサルティング株式会社」「株式会社パイプマン」の3社が並び、それぞれ月給133万3333円を提示しています。

これらの企業はいずれも、マネージャーやディレクタークラスといった経験や専門性が求められるポジションで募集を行っています。特にコンサルティング業界では高水準の月給が目立ちました。また、建設・不動産業界からは株式会社パイプマンが取締役ポジションでランクインしており、経営層クラスの募集も見られます。

また、年俸制で12分割した金額を月給としている企業が多いことも特徴として見られました。

業種別

続いて、転職サイトにおける募集月給額の平均を業種別で分析したところ、1位は全体のランキングでもランクインの多かった「コンサルティング/専門事務所」で、35万7897円となりました。次いで「IT/Web/ゲーム/通信」が33万8164円、「金融/保険/証券」が30万6599円、「医療/医薬/バイオ/化粧品」が29万185円、「住宅/不動産/建設/土木」が27万9301円と続いています。

2024年7月から2025年7月にかけての上昇率で見ると、「IT/Web/ゲーム/通信」が+8.16%の上昇で最も高く、続いて「住宅/不動産/建設/土木」が+3.00%、「金融/保険/証券」が+1.97%、「医療/医薬/バイオ/化粧品」が+0.91%の上昇となりました。一方、「コンサルティング/専門事務所」はわずかに-0.06%の減少となっています。

全体の企業別募集月給ランキングでは登場の少なかった3位の金融・保険業種において、募集月給を企業別に調査します。

1位は「moomoo証券株式会社」で、月給は119万7000円と圧倒的な高水準。2位「株式会社FPG」は108万円、3位「株式会社リアライズコーポレーション」は106万1143円、4位「JICキャピタル株式会社」は100万円、5位「カーディフ生命保険株式会社」は93万3333円でした。いずれも幹部候補や専門職の求人で、100万円超の高水準が目立ちます。

1位のmoomoo証券株式会社は、アメリカでの上場企業の日本法人として証券業務の立ち上げを担う人材を募集。オペレーション全体の管理や英語での報告業務などが求められる、グローバルかつ実務経験重視のポジションです。

職種別

さらに、職種別の募集月給額の平均を分析したところ、1位は「ITエンジニア/IT系専門職」で31万8967円となりました。続いて「クリエイティブ(Web系)」が31万3936円、「専門職」が30万4032円、「映像/イベント/芸能/キャンペーン」が29万7925円、「クリエイティブ(Web以外)」が29万7921円と続いています。

2024年7月から2025年7月にかけての上昇率を見ると、「専門職」が+4.01%で最も高く、次いで「映像/イベント/芸能/キャンペーン」が+3.07%、「ITエンジニア/IT系専門職」が+2.60%、「クリエイティブ(Web系)」が+0.36%の上昇となりました。一方、「クリエイティブ(Web以外)」は-2.69%の減少を示しています。

ITエンジニア職に次いで2位にランクインしたWeb系クリエイティブ職の募集月給を企業別に調査してみると、1位は「株式会社リクルート」で、月給は100万6628円となっています。2位は「株式会社シュウエイトレーディング」の85万7000円、3位は「エム・ティ・ストラテジー株式会社」で83万3333円、4位は「エムスリー株式会社」の78万4904円、5位には「日本アイ・エス・エス株式会社」と「GMOTECH株式会社」がともに75万円で並びました。

1位の株式会社リクルートでは、日本最大級の住宅情報サイト「SUUMO」の不動産会社向け業務支援サービスに関するPdM(プロダクトマネージャー)を募集しています。業務内容は中長期のプロダクト戦略策定から、ユーザー課題の分析、企画推進、開発ディレクションなど多岐にわたり、実務経験豊富な人材向けのポジションです。

都道府県別

都道府県別に募集月給の平均額でランキングを作成すると、賃金水準の高い首都圏が上位に多くランクインします。そこで、2024年7月から2025年7月までの1年間の上昇率を基準に、都道府県別のランキングを紹介します。

上昇率が最も高かったのは「青森県」で、+5.59%(25万1242円)の伸びを記録しました。続いて「沖縄県」が+4.63%(26万1664円)、「京都府」が+4.41%(27万2317円)、「大分県」が+4.16%(24万2863円)、「徳島県」が+4.07%(25万68円)と続いています。

全国平均の上昇率は+2.01%(28万8623円)となりました。今回ランクインした都道府県では、月給額自体は全国平均を下回るものの、上昇率については全国平均を上回る伸びを示していることがわかります。この結果から、賃金水準の高い地域に比べて地方では賃金の伸びがより顕著であり、地方の求人市場においても採用競争の激化や人材確保のための待遇改善が積極的に進んでいることがうかがえます。

最後に、1位となった青森県について企業別に募集月給を見てみると、1位は「株式会社リンクステーション」で、月給は119万7000円でした。2位は「リキューブ株式会社」の66万6666円、3位は「東京電力ホールディングス株式会社」の54万1666円、4位には「佐藤税理士法人」「株式会社日本農業」「株式会社オーカム」の3社が50万円でランクインしました。

1位の株式会社リンクステーションでは、受託開発プロジェクトをリードするPM(プロジェクトマネージャー・管理職)を募集しています。青森県内の大手クライアントに向けたシステム開発案件を統括するポジションであり、営業戦略の立案やメンバーマネジメントなども担います。同社が展開する事業を支える中核人材の採用とみられ、豊富な実務経験とマネジメントスキルが求められていました。

まとめ

今回は当社が保有する求人データを活用し、企業別の募集月給を調査しました。

転職サイトにおける求人件数は引き続き増加傾向にあり、募集月給の平均もじわじわと上昇を続けています。企業別の求人では、コンサルティングや金融、IT系を中心に、100万円を超える月給を提示する求人も目立ちました。いずれもマネージャーやプロフェッショナル職など、即戦力人材をターゲットとしたポジションが多く、実績やスキルに応じた待遇が提示されています。

業種別・職種別では、コンサルティングのほかIT・クリエイティブ系の水準が引き続き高く、Web系職種では大手企業を中心に80万円台〜100万円超の求人も登場しています。都道府県別では、地方エリアでの賃金上昇率が目立ち、青森県や沖縄県、京都府などが前年比4%を超える伸びを記録しました。待遇改善による人材確保の流れが地方にも波及しているといえるのではないでしょうか。

求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。

本件の詳細はこちらのPDFよりご覧ください。
【2025年7月度】転職サイト 募集月給レポート