2025年10月度 都道府県別 新最低賃金未満の求人割合レポートを発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2025年10月度 都道府県別 改定後最低賃金未満の求人割合レポート」を発表しました。
概要
厚生労働省が発表した「地域別最低賃金の全国一覧」によると、2025年度の最低賃金引き上げ額の幅は63円~82円となりました。最低賃金の全国加重平均額は1,121円で、2024年度の1,055円から66円増加。過去最大の引き上げが10月以降行われ始めています。
当社が9月に発表した「2025年9月度 都道府県別 改定後最低賃金未満の求人割合レポート」では、改定後最低賃金に満たない求人は全国で46.38%であり、また秋田県では改定後の最低賃金に満たない求人が66.27%で全国最大となっていました。
では最低賃金の改定が発効された後に、時給の引き上げが必要となる求人はどれだけあるのでしょうか。今回は当社が収集している求人媒体の掲載情報を活用し、最低賃金改定前の求人を対象に、改定後の最低賃金に満たない割合を都道府県別に分析しました。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!
トピック
・改定済みの地域を除き、2025年度の改定後最低賃金に満たない求人は全国で28.97%となり、9月時点(46.38%)から17.41pt改善。改定の反映が全国的に進んでいることが明らかに
・都道府県別では、秋田県(49.64%)、福島県(48.75%)、大分県(47.31%)が上位を占め、東北および九州の一部で依然として高い割合が続く
・改定が最も遅い秋田県の改定後最低賃金に満たない求人割合は、12月1日改定組(岩手・愛媛など)を上回る減少幅となっており、80円という大幅な改定に向け段階的な賃金引き上げがすでに進んでいることがうかがえる
最低賃金の改定状況

まずは最低賃金の全国加重平均額を推移で見てみます。年々引き上げ率は高まっており、2025年度は前年と比較して+6.26%(+66円)の上昇となりました。昨今の物価高などが反映され、賃上げの勢いが強まっている様子がうかがえます。
※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照

続いて、都道府県別に最低賃金の改定額を見ていきます。引き上げ額の幅は63円~82円で、今回の改定により全ての都道府県で最低賃金が1,000円を上回りました。
2025年度の最低賃金改定は、10月を皮切りに全国で段階的に進んでいます。47都道府県のうち20都道府県が10月中に改定を実施し、全国の約4割で新しい最低賃金がすでに適用されています。北海道・東京・大阪・神奈川などの主要都市圏に加え、宮城・栃木・兵庫など地方圏でも発効が完了しました。
一方、残る27府県では改定がこれからで、11月に13府県、12月に8県、年明けの1月に4県、3月に2県が発効を予定しています。
※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照
新最低賃金未満の求人割合
ここでは、2025年9月時点で改定後の最低賃金に満たない求人の割合を都道府県別に調査します。これにより、今後の最低賃金改定で時給を引き上げる必要のある求人がどれだけあるかを分析しました。

都道府県別の割合をランキングで見ると、9月度のレポートに続き、最も高いのは秋田県49.64%となりました。続いて福島県48.75%、大分県47.31%となり、上位3位は東北2県+九州1県の並びでした。50%を超える自治体はありませんが、40%超は9県(岩手・秋田・福島・群馬・徳島・高知・長崎・熊本・大分)にのぼります。

次に、9月から10月にかけて、新最低賃金未満の求人割合がどれだけ減少したかを見てみます。改定済みの地域を除き、全国では46.38%から28.97%へ、17.41pt減少しました。改定前の地域においても賃金が上昇し、全国的に新最低賃金未満の求人割合が顕著に低下していることがわかります。

続いて、2025年11月以降に改定が行われる地域の新最低賃金発効日と、新最低賃金未満の求人割合の減少幅を比較してみます。改定予定日が近いほど減少幅が大きい傾向は確認できるものの、秋田県(発効予定:2026年3月31日、−16.62pt)は、12月1日改定組の平均(−14.34pt)や中央値(−13.46pt)を上回る減少幅を示しています。12月1日改定地域の範囲(−19.5〜−10.7pt)の中でも上位に位置し、すでに多くの地域より新最低賃金未満の求人割合が減少しています。
秋田県では、改定額が80円と全国でも大きく、企業にとって負担の大きい引き上げが求められています。そのため、発効までの期間を活用して、一度に引き上げるのではなく段階的に賃金を上げる動きが進んでいることがうかがえます。
職種別 新最低賃金未満の求人割合
ここでは、新最低賃金未満の求人割合が多いエリアTOP3において、改定後の最低賃金に満たない求人割合を職種別に見てみます。
秋田県

1位の秋田県では「製造/工場/化学/食品」が70.31%で最大となり、次いで「販売/接客/サービス」が56.59%、「運輸/物流/配送/警備/作業/調査」が56.18%と続きました。
福島県

次に2位の福島県では、「製造/工場/化学/食品」が61.48%で最大となりました。続いて「販売/接客/サービス」が60.68%、「ホテル/旅館/ブライダル」が55.84%と続いています。
大分県

最後に3位の大分県では、「販売/接客/サービス」が60.23%で最大となりました。続いて「製造/工場/化学/食品」が59.49%、「運輸/物流/配送/警備/作業/調査」が57.11%と続いています。
3県でそれぞれ上位3位までにランクインした職種は、「販売/接客/サービス」「製造/工場/化学/食品」「運輸/物流/配送/警備/作業/調査」「ホテル/旅館/ブライダル」の4つとなりました。いずれも接客業や製造・物流系の職種で高い割合を示しており、これらの業種では時給の引き上げ対応が特に求められることがわかります。
まとめ
今回は当社が保有する求人データを活用し、改定後の最低賃金に満たない求人の割合を都道府県別に分析しました。
2025年度は、過去最大となる全国加重平均+66円(+6.26%)の最低賃金引き上げが行われ、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超える水準に達します。物価高や人材確保の難しさを背景に、地域間の賃金格差を是正する動きが進む一方、中小企業を中心に対応負担の増大が懸念されています。
9月時点で全国の求人の約46%が改定後最低賃金を下回っていましたが、今回の分析では改定済み地域を除いて28.97%まで低下したことが明らかになりました。発効予定日が近い地域ほど減少幅が大きい一方で、秋田県(発効予定:2026/03/31)は減少幅が−16.62ptと、12月1日改定組の平均(−14.34pt)・中央値(−13.46pt)を上回っています。秋田県は引き上げ額が約+80円と大きく、正式発効を待たずに段階的な賃金引き上げが先行していることがうかがえます。
職種別では、「製造・工場・化学・食品」「販売・接客・サービス」「運輸・物流・配送・警備・作業」などの労働集約型業種で依然として低賃金水準が目立ちます。これらの業種では、今後も最低賃金改定への対応や人件費上昇を踏まえた経営戦略の見直しが求められると考えられます。
求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。
本件の詳細はこちらのPDFよりご覧ください。
【2025年10月度】都道府県別 新最低賃金未満の求人割合レポート

