2025年3月度 「時給1,500円」に近づく自治体ランキング(中国・四国)を発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2025年3月度 『時給1,500円』に近づく自治体ランキング(中国・四国)」を発表しました。

※本調査は、「イーアイデム」「タウンワーク」「バイトル」「フロムエー」「マイナビバイト」に掲載された求人情報を収集・集計しました。

概要

政府は、2020年代中に最低賃金の全国平均を「1,500円」まで引き上げる目標を発表しました。また、最低賃金の引き上げに伴い、募集時給も年々上昇しています。では、「募集時給」が1,500円に到達する勢いのある都道府県・自治体はどこなのでしょうか。

今回は、当社が収集している求人媒体の掲載情報を活用し、中国・四国エリアの自治体に焦点を当てた募集賃金の動向をレポートをお届けします。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!

最低賃金改定状況

まずは最低賃金の全国加重平均額が、過去どのくらい上昇してきたのかを見てみます。年々引き上げ率は高まっており、2024年は前年と比較して+5.08%(+51円)の上昇で、全国加重平均額は1,055円となりました。1,500円まではあと445円の引き上げが必要となり、2029年までに達成するためには毎年+8%以上の引き上げが求められます。

※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照

中国・四国エリアでの最低賃金引き上げ額を見てみると、それぞれ50~84円の引き上げ幅となっています。広島県では、2024年度の改定により、最低賃金が中国・四国エリアで唯一1,000円を超えました。

また、徳島県は全国でも最大となる84円の引き上げを行っています。これにより同県の最低賃金は、2023年度にはエリア内で最も低い水準でしたが、2024年度では3番目に高い水準となりました。

※最低賃金の改定については厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」を参照

募集時給動向

中国・四国エリアにおける、2022年3月から2025年3月まで3年間の募集時給を分析します。

2022年から2025年までの各10月には、それぞれ平均時給が+2.0%前後上昇しています。最低賃金の引き上げによる平均時給への影響が顕著に表れていました。

2025年3月までの3年間で、中国・四国エリアの募集時給は952円から+123円(+12.92%)上昇し、1,075円となっています。なお、2024年3月から2025年1月までの1年間では、+46円(+4.47%)の増加となりました。1,500円までは+425円(+39.53%)の引き上げが必要で、現在の年+4.5%程度の上昇では2034年には1,500円に到達できる勢いとなっています。

「時給1,500円」に近づく中国・四国エリアの自治体は?

ここでは、中国・四国エリアにおいて募集時給が1,500円に近づく勢いのある自治体を調査します。なお外れ値調整のため、2024年3月と2025年3月時点で求人が100件以上ある自治体を対象としました。

まずは、2025年3月の募集時給額をランキングで見てみると、広島県広島市中区が1,139円で1位となりました。次いで広島県廿日市市が1,130円、広島県広島市南区が1,128円、広島県呉市が1,112円、広島県大竹市が1,110円と続いています。上位5位全ての自治体が、広島県からのランクインとなりました。

1位の広島県広島市中区(以下、広島市中区)は、2025年3月の募集時給が前年比+4.02%となっており、1,500円までは+361円(+31.70%)の引き上げが必要です。現在のように年+4%程度の上昇が続くと、2033年には1,500円に到達できる勢いとなっています。

続いて、広島市中区・東京都・全国の募集時給を、それぞれ前月比の推移で比較します。最低賃金の引き上げがあった2024年10月は+2.0%近く平均時給が上昇しており、東京都や全国の上昇率を上回っていました。

広島市中区における2025年3月の求人を企業別に見てみると、「株式会社Jinnovate」による時給2,000円の募集が最高額となっています。高病原性鳥インフルエンザ発生時の対応業務を募集する求人で、鳥インフルエンザ発生のピークが2~3月であることから募集が強化されていたのではないでしょうか。

さらに、2025年3月時点の募集時給を前年比のランキングで分析し、時給上昇率に勢いのある中国・四国エリアの自治体を調査しました。

1位には、愛媛県大洲市が+8.66%でランクインしました。次に愛媛県西条市が+7.36%、香川県善通寺市が+7.06%、広島県呉市が+6.41%、広島県廿日市市が+6.30%と続いています。上位3位の自治体では、1年間の時給上昇率が+7.0%以上となりました。

1位の愛媛県大洲市(以下、大洲市)は、2025年3月の募集時給が1,079円となっており、1,500円までは+421円(+39.02%)の引き上げが必要です。現在のように年+8.5%程度の上昇が続くと、2030年には募集時給が1,500円に到達できる勢いとなっています。

続いて、大洲市・東京都・全国の募集時給を、東京都・全国の平均募集時給を、それぞれ前月比の推移で比較します。最低賃金の引き上げがあった2024年10月は平均時給が前月から+3.12%上昇しており、東京都や全国の上昇率を上回ったほか、時給額のランキングで1位だった広島市中区の上昇率も超える上昇となりました。

最後に、大洲市の募集時給を価格帯ごとの求人数で調査し、2024年3月と2025年3月でそれぞれの全体に占める割合を比較します。1年間でボリュームゾーンの変化を見てみると、最低賃金が897円から956円に引き上げられたことで「850~949円」の出稿が0件に減り、「950~1,049円」と「1,100~1,149円」の割合が増加しました。

また、「1,200~1,249円」の割合も10ポイント近く上昇しています。1,200円台前半の求人に着目してみると、「サカイ引越センター」が時給1,200円の求人を出稿していました。通常の時給は1,000円~の募集となっていますが、引っ越しシーズンで繁忙期となる2月~4月のみの限定時給として1,200円で募集をしています。より人手が必要となる時期のみ時給を高くする工夫が見られました。

まとめ

今回は当社が保有する求人データを活用し、「時給1,500円」に近づく中国・四国エリアの自治体ランキングを調査しました。

エリア全体として最低賃金引き上げによる平均時給への影響が高くなっており、最低賃金水準で募集する企業が多い様子がうかがえます。また、平均時給が高くても上昇率が低かったり、上昇率が高くても時給自体の水準が低かったりすることから、平均時給ベースでも2029年までに1,500円到達が難しい自治体が多いようです。一方で、繫忙期に合わせて時給を高くするなど、各企業の人手確保に向けた工夫もみられました。

求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。

本件の詳細はこちらのPDFよりご覧ください。
【2025年3月度】 「時給1,500円」に近づく自治体ランキング(中国・四国)