株式会社ゴーリスト、マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究を開始。コロナ禍における労働市場の変化を分析、新規求人数が減少した求人特徴が明らかに
人材業界向けに約10億件を超える求人情報のビッグデータを提供し続けてきた、株式会社ゴーリスト(所在地:東京都千代田区、代表取締役:加藤 龍、以下「当社」)は、マサチューセッツ工科大学(以下「MIT」)との共同研究を実施しました。
本共同研究は、「HRogリストforアカデミア」を用いて、新型コロナ(COVID-19)禍における、企業の求人行動の分析を目的としたものです。
<論文>
タイトル:
A Note on Responses of Vacancy Posting to COVID-19 shock in Japan
(邦題:「新型コロナ(COVID-19)危機下における、企業の求人行動の変化についての考察」)
著者:
福井真夫氏(マサチューセッツ工科大学)
菊池信之介氏(マサチューセッツ工科大学)
株式会社ゴーリスト
共同研究の背景・目的
新型コロナウイルスの感染拡大は、世界中の労働市場に大きな影響を与えており、日本もその例外ではなく、求人件数の減少という形で影響が顕著に表れています。
本研究では、インターネット上の求人データを用いて、日本における採用企業の求人情報の変化を明らかにし、コロナ禍が日本の求人情報にどのような影響を及ぼしているのか明らかにしました。
研究結果の概要
■研究方法
本論文では、ゴーリストが提供する求人データの補足をするため、政府が集計する公共職業安定所(ハローワーク)における求人・求職・就職の状況を取りまとめた「一般職業紹介状況」のデータも扱っており、2つのデータの整合性を確認するため論文内で検証も行っています。
以下図(a)は、ハローワークへ報告された求人数とゴーリストが収集した求人数を比較したグラフですが、2つのデータ間で数値の動きに大きな乖離はないと言えます。また(b)の図では、各データの前年比を比較しており、こちらもほぼ同様の傾向を示していることが分かります。
上記の検証結果から、2つのデータは整合性があるとし、ゴーリストのデータからは主に「募集対象の学歴」「雇用形態」「求人媒体上の掲載賃金」の項目を重点的に活用しています。
■研究結果
(1)雇用形態では「パートタイム」、産業では「サービス業・製造業」、職種では「生産従事者や対人サービス」、学歴では「大卒未満」において、特に「新規求人件数」の減少が顕著であることが判明した。
(2)「新規求人数」は、2020年4月で前年同月比30%以上減少しているにもかかわらず、「掲載賃金」は、コロナショックに対してほとんど反応していないことがわかった。
今後の展望
現在進行中の共同研究では、コロナ危機が企業に与えた影響を継続的な観測を行う予定です。
また、新卒者や転職者を含む母集団を広げた求人ビッグデータを用いて研究することで、さらに網羅性のある分析を予定しています。
また、設立規模、地理、労働者の能力など踏まえ多角的に「賃金」の分析をすることで、さらに実証的・理論的な求人情報の変化に関する研究を推し進める考えです。