2025年6月度 金融機関 経験者採用動向レポートを発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2025年6月度 金融機関 経験者採用動向レポート」を発表しました。
概要
日本経済新聞「メガバンクの中途採用計画、25年度は過去最高 純血主義から転換」によると、メガバンクでの経験者採用比率が高まっていると記載されています。新卒一括採用の傾向が見られる金融機関の採用方針は、どのように変化しているのでしょうか。
今回は、当社が収集している求人媒体の掲載情報を活用し、金融機関の求人動向を分析したレポートをお届けします。最新の傾向を示す参考資料として、ぜひご活用ください!
※本記事における金融機関は、銀行または信用金庫と定義します
トピック
・金融機関の経験者採用求人件数は、2025年までの6年間で450.82%増加
・職種別求人件数では、ITエンジニア職が6年間で約9.23倍に
・経験者採用と新卒採用の出稿企業数比率は、経験者採用の割合が3年で10.3ポイント増加
求人件数動向
まずは、金融機関における経験者採用の求人件数を、さまざまな角度から分析します。
全体

2019年1月から2025年1月にかけて金融機関の求人件数を見てみると、608件から6年間で+2,741件(+450.82%)増加し、2025年1月時点では3,349件となりました。
2020年以降の前年比で見ると、2021年1月には前年から20.58%減少しましたが、2022年1月には回復。その後は増加傾向が続き、2025年1月は前年から+37.65%の増加率となりました。金融機関における経験者採用の求人出稿が増えている様子がうかがえます。
指数比較
続いて、金融機関と全求人の「求人件数」および「出稿企業数(以下、企業数)」を、2019年1月の値を100とした指数で比較しました。

求人件数の指数を見ると、全求人はコロナ禍の影響により2020年1月から2022年1月にかけて100を下回り、2025年1月時点でも108.40と、依然としてコロナ禍前と同程度の水準にとどまっています。一方、金融機関の指数は2020年1月時点では減少せず、2021年1月に一時的に減少したものの、その後は右肩上がりに上昇。2025年1月の指数は550.82となり、6年間で約5.5倍に増加しました。

企業数の指数を比較すると、全求人は現在もコロナ禍前の水準に戻っていないことが分かります。一方で金融機関の企業数は2020年1月から2022年1月まで減少傾向にありましたが、2023年1月から増加に転じました。金融機関における2025年1月の企業数は、2019年1月比で約1.4倍となっており、採用企業の裾野が広がっていることが分かります。
採用予定人数

次に、「ハローワーク」と「マイナビ転職」に掲載されている金融機関の求人原稿から、採用予定人数の合計および1社あたりの平均人数の推移を分析します。なお、採用予定人数が数値で記載されている求人は下限の人数を抽出し、「若干名」は1名、「複数名」は2名として換算しました。
2019年1月から2025年1月までの採用予定人数の合計を見ると、2021年1月以降増加傾向にあり、2025年1月には693名となっています。一方、1社あたりの平均採用予定人数は、2022年1月・2023年1月の1.91名がピークとなり、2025年1月時点では1.68名となりました。
採用予定人数の合計が増加する一方で、1社あたりの平均人数はやや減少しており、より多くの企業が少人数でピンポイントな採用を進めている傾向がうかがえます。
職種別

続いて、金融機関の求人件数を職種別に分析します。2019年1月から2025年1月にかけての増加倍率を見ると、ITエンジニア職が約9.23倍で最も大きく伸びています。次いで営業・事務職が約5.56倍、専門職(コンサルティングやデータサイエンティスト職など)が約4.80倍、販売・接客職(窓口業務など)が約2.25倍と続きました。
求人件数の絶対数では営業・事務職が最も多いものの、6年間の伸び率はITエンジニア職が特に顕著でした。
月給動向
ここでは、金融機関における経験者採用の賃金について分析します。

金融機関の平均月給を全求人と比較すると、2019年1月時点では全求人が上回っていましたが、2020年1月には金融機関が逆転しました。2025年1月時点で金融機関の平均月給は、280,169円となっています。

また、企業別の平均月給をランキングで3位まで見てみると、「株式会社京都銀行」が月給100万円で最高額を提示していました。これは、PE投資(未上場企業の株式に中長期で投資し、成長後に売却益を得る手法)の担当者を募集する求人で、想定年収は1,800万円以上です。続く2位・3位は、「株式会社あおぞら銀行」と「株式会社東京スター銀行」が月給80万円、「ソニー銀行株式会社」と「株式会社みずほ銀行」が月給75万円でランクインしました。
ランクインした職種には、投資・ファイナンス系をはじめ、金融商品の営業、企画・戦略系、システム開発職などが含まれています。
新卒採用との比較
最後に、金融機関における経験者採用と新卒採用の比率がどう変化したか調査しました。なお、経験者採用は取得年の1月第1週、新卒採用は取得年の3月第1週のデータを使用しています。

まず、新卒ナビサイトにおける金融機関の企業数はおおよそ350社前後で推移しており、横ばい傾向にあります。

次に、経験者採用と新卒採用の企業数比率を分析しました。2022年時点では経験者採用の割合が27.3%だったのに対し、2025年時点では37.6%となり、3年間で10.3ポイント増加しています。新卒採用の企業数が横ばいの中で、経験者採用を行う企業の割合が増加していることが分かりました。

さらに、経験者採用と新卒採用における平均月給(初任給)を比較すると、経験者採用では2022年から2025年にかけて+39,930円(+16.62%)上昇し、現在の平均月給は289,169円となっています。新卒採用では+25,588円(+13.04%)上昇し、現在の平均初任給は221,805円となりました。
経験者採用のほうが新卒採用よりも高い上昇率となっており、企業が経験者の募集において賃金水準を引き上げる姿勢を強めていることがうかがえます。
まとめ
今回は当社が保有する求人データを活用し、金融機関における経験者採用の求人動向を調査しました。
金融機関では、ITや投資系など専門性の高い職種を中心に、経験者採用の求人が大きく増加しています。平均月給はおよそ28万円と、新卒採用と比べて高い上昇率で推移しており、一部の職種では月給100万円を超える求人も確認されました。
新卒採用が横ばいの中、経験者採用を行う企業の割合は着実に増加しており、これまで新卒中心だった金融業界において、採用方針の変化が見えてきています。特に高度な専門性をもつ人材に対しては、待遇面でも積極的な姿勢がうかがえ、今後の採用市場にも影響を与えていくのではないでしょうか。
求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに分析することが可能です。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。
本件の詳細はこちらのPDFよりご覧ください。
【2025年6月度】金融機関 経験者採用動向レポート