2025年8月度 人材業界大手企業 求人出稿状況レポートを発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2025年8月度 人材業界大手企業 求人出稿状況レポート」を発表しました。
概要
企業の採用活動は、体制の見直しや新サービスの投入など、事業戦略の変化とともに変わります。求人出稿の内容やボリュームを追うことで、各社がどの分野に注力し、どのような人材ポートフォリオで戦略を推進しようとしているのかを読み解くことができます。
今回は人材業界大手企業の求人出稿状況から、各社の成長を支える採用戦略をひも解きます。採用市場の傾向把握や戦略立案の参考資料としてご覧ください。
トピック
- 体制変更に伴い、株式会社リクルート(以下、リクルート)では新設子会社インディードリクルートパートナーズ(以下、IRP)の求人がピーク時で1.7倍に急増、ディップ株式会社(以下、ディップ)では求人数が約2.5倍に
- 「社内版ビズリーチ」の提供開始に伴い、株式会社ビズリーチ(以下、ビズリーチ)は求人数約1.6倍、マーケ職比率が18.1%→26.1%に上昇
リクルート

まずは人材業界最大手であるリクルートの求人出稿状況を見てみます。リクルートの求人出稿数は2024年7月より減少傾向に。一方、2025年4月1日の体制変更に伴って新設されたIRPの求人出稿数は、ピーク時の2025年4月7日から5月5日にかけては約1.7倍に増加していました(※1)。
体制変更のタイミングで、株式会社リクルートの管轄だったリクルートエージェントなどのサービスがIRPに移管されたことも影響し、求人が増加していると考えられます(※2)。


では、IRPはどのような職種を募集しているのでしょうか。リクルートエージェントが移管された影響からか、求人出稿を開始した4月7日時点では、転職希望者へのキャリアカウンセリングや求人提案を行うキャリアアドバイザー職と、企業への採用支援や人材提案を行うリクルーティングアドバイザー職といった営業系職種が90.9%と大半を占めています。
一方、7月7日時点では、これら営業職のアシスタント業務などを担うバックオフィス系の求人が増加しており、エージェントだけでなく、そのアシスタントの採用も強化していることが分かりました。
マイナビ

次に、株式会社マイナビ(以下、マイナビ)の求人出稿状況を見てみます。同社の求人出稿数は横ばいでしたが、グループ会社で派遣事業を行う株式会社マイナビワークスは大きく出稿数を伸ばしていました。

同社の求人を詳しく見てみると、無期雇用派遣募集の正社員求人が増加していることが分かります。雇用形態別に推移をみると、有期派遣は横ばいなのに対し、無期雇用派遣は大きく増加。エン・ジャパン株式会社の2024年の調査によれば、無期雇用派遣での働いたことのない方のうち7割以上が「働いてみたい」「興味がある」と回答しており(※3)、マイナビも求職者のニーズに応え、無期雇用を強化していることが伺える結果となりました。
ディップ

ディップの求人数は、1年間で約2.5倍に増加しています。同社は2024年2月期の通期決算において、2025年2月期は人員増を抑え、中途採用はエンジニアのみに抑制すると発表していました(※4)。


職種で見てみると、2024年7月1日時点では、発表通りシステム開発系の職種が44.1%と大半を占めていました。一方、2024年7月1日時点では5.6%だった営業系の職種が、2025年7月7日時点では31.3%と25.7ポイント増加。
2026年2月期第1四半期決算(2025年7月15日発表)では、それまで地域・企業別だった営業体制を業種別のソリューション営業体制へ変更し、それに伴い営業も増員すると発表されています(※5)。その戦略通り、営業系の職種が大きく増加していることが求人出稿状況から明らかになりました。
ビズリーチ

ダイレクトリクルーティング領域をけん引するビズリーチの求人数は、1年間で約1.6倍増加していました。


職種別に出稿状況を見てみると、2024年7月1日時点で18.1%だったマーケティング系が、2025年7月7日時点では26.1%へと8ポイント増加しています。
グループ親会社のビジョナルは2025年7月期第2四半期決算(2025年3月13日発表)において、2025年1月28日に提供開始した「社内版ビズリーチ」のマーケティング投資を行っていくと発表としており(※6)、その戦略を推進できる人材を求めていることが伺えます。

また、同グループ子会社の株式会社アシュアード(以下、アシュアード)は2025年6月11日、サイバーセキュリティの新サービス「Assured 企業評価」をリリース。ビジョナル創業者の南壮一郎社長は「10年後にHR(人材)テックの会社ではなく、サイバーセキュリティーの会社だと認識されるぐらい大きく投資していく」と発言しています(※7)。
その戦略通り、アシュアードの求人出稿数は直近1年で約1.6倍に増加しました。


職種別に見てみると、2024年7月1日時点では営業系が45.0%を占めていましたが、2025年7月1日時点ではシステム開発系、マーケティング系が大きくその求人割合を伸ばしています。
新サービスを発表し、これから大きくサービスを成長させていくために、根幹となるシステムへの投資や、今後強化されるプロモーションが可能な人材を求めているのではないかと伺えます。
タイミー

最後に株式会社タイミーの求人出稿状況を見てみると、求人数は1年間で約1.3倍にまで増加。2024年7月26日の上場後も企業規模拡大の手を緩めていないことが伺えます。


職種別で見ると割合は大きく変わっておらず、営業系、システム開発系、バックオフィス系、マーケティング系の職種が大半を占めていました。
まとめ
体制変更や新サービスの開始など、各社が自社の戦略に沿って求人出稿を強化していることが分かりました。中心となる職種は営業・システム開発・マーケティングですが、ビズリーチやアシュアードのように戦略フェーズに応じて職種構成を変化させる企業も見られます。こうした出稿傾向を把握することで、企業の採用戦略や市場全体の人材需要をより的確に読み取ることが可能です。
求人ビッグデータを活用することで、より詳細に、よりリアルタイムに捉えられます。ぜひ今後の営業活動や採用活動にご活用ください。
出典元
※1:リクルート「当社グループのガバナンス体制の変更について」
※2:リクルート「2025年4月1日より提供会社が変更となるサービス」
※3:エン・ジャパン「「無期雇用派遣」意識調査(2024) 無期雇用派遣を理解している方は前年比16ポイント増。 未経験者の7割以上がポジティブな関心。 ー『エン派遣』ユーザーアンケートー」
※4:ディップ「2024年2月期 第4四半期及び通期決算説明資料」
※5:ディップ「第29期(2026年2月期)第1四半期決算説明資料」
※6:ビジョナル「FY2025/7 2Q 決算説明資料」
※7:日経新聞「ビジョナル、企業のサイバー防御を評価」
本件の詳細はこちらのPDFよりご覧ください。
【2025年8月度】人材業界大手企業 求人出稿状況レポート