2026年3月度 越境バイト 実態分析レポートを発表しました

分析用求人ビッグデータを提供する、株式会社フロッグ(所在地:東京都千代田区、代表取締役:阪野 香子、以下「当社」)は、「2026年3月度 越境バイト 実態分析レポート」を発表しました。
概要
最低賃金は、都道府県ごとに定められています。最低賃金の差がわずか数十円であっても、県境という「線」を越えるだけで、働く人にとっては無視できない時給の差につながるケースも少なくありません。
近年こうした最低賃金の地域差を背景に、県境を越えて近隣のより時給の高いエリアで働く「越境バイト」が静かに増えつつあります。
本記事では県境エリアで実際にどの程度の賃金差が生じているのかを、エリア×時給分析ツール「HRogマップ」を使用して分析しました。
※2026年2月13日時点の情報です
トピック
・2025年度の最低賃金改定により全国加重平均は+66円(+6.26%)と大幅に上昇し、全都道府県で1,000円を突破する
・アルバイト就業者の43.6%が時給の高い近隣地域での勤務を検討しており、約6人に1人が実際に県境を越えて働く「越境バイト」を経験している
・埼玉県(1,141円)と群馬県(985円※調査時点)のように最低賃金の開きが大きいエリアでは、8時間勤務を月12回行うと実質的な手取りに約9,000円もの差が生じる
4割以上が「越境バイト」を検討
「マイナビ 働く人視点の2025年度最低賃金改定-期待の薄さと地域格差意識-」によると、アルバイト就業者のうち43.6%が、時給が高い近隣地域でアルバイトをしたいと感じたことがあります。

実際のデータで見る県境の時給差
「HRogマップ」で算出したデータをもとに、コンビニエンスストア(セブンイレブン)と飲食店における県境での最低賃金・募集時給の差、県境を越えるために必要な交通費、実質的な賃金差などについて見ていきます。
※月額差の試算は、特記のない限り「週3日・月12回勤務」を前提としています。
コンビニエンスストア
【東京都(JR小岩駅)/千葉県(JR市川駅)】

東京都の最低賃金は1,226円、千葉県の最低賃金は1,140円です。
「セブンイレブン」の時給について、東京都と千葉県の県境付近に位置するJR「小岩駅」周辺の店舗とJR「市川駅」周辺の店舗の募集時給を「HRogマップ」を用いて調査しました。
東京都は1,226円、千葉県は1,140円の店舗が多いことが分かりました。東京都と千葉県どちらも最低賃金がベースになっており、86円の賃金差があります。
東京都の「JR小岩駅」と千葉県の「JR市川駅」間の運賃は往復300円で、駅間の所要時間は3分です。
では実際に勤務した場合、県境の違いでどのくらいの賃金差が発生するのでしょうか。
コンビニエンスストアの勤務時間は、1日あたり4~8時間が一般的です。中心的な募集時給で試算すると、東京都の店舗で4時間勤務した場合の賃金は1,226円×4時間=4,904円、千葉県店舗で4時間勤務した場合の賃金は1,140円×4時間=4,560円です。差額は344円なので往復の運賃300円を差し引くと、1日あたり44円しか変わりません。
4時間勤務を月12回行うと、月額差は528円となります。1ヶ月の賃金差は528円です。「越境バイト」をする収入面でのメリットはあまりないといえます。
8時間勤務の場合も同様に計算すると、東京都の店舗で勤務した場合の賃金は9,808円、千葉県の店舗で勤務した場合の賃金は9,120円となり、差額は688円です。往復の運賃300円を差し引くと1日あたり388円の差が出ます。8時間勤務を月12回行うと、月額差は4,656円となります。
電車の所要時間が片道3分と短いこともあり、「越境バイト」を選ぶ人も多いと考えられます。
【埼玉県(JR神保原駅)/群馬県(JR新町駅)】

続いて「セブンイレブン」の時給について、埼玉県と群馬県の県境付近に位置するJR「神保原駅」周辺の店舗とJR「新町駅」周辺の店舗の募集時給を調査しました。
埼玉県側の最低賃金は1,141円で、募集時給も同額の店舗が多いという結果でした。一方、群馬県の最低賃金は985円(2026年2月13日時点/2026年3月1日より1,063円に改定)で、駅周辺では時給1,000円から1,090円で募集されています。最低賃金改定前であっても、改定後の額に近い賃金で募集している店舗が少なくありません。ただし、駅から離れた店舗は最低賃金と同額の時給985円で募集しています。
群馬県の県境付近の店舗は最低賃金よりも高い時給を設定しているケースが多いですが、最低賃金自体に80円近い差があるため、埼玉県の店舗との間には依然として時給差が存在します。
実際にそれぞれの県境付近で勤務した場合、どの程度の賃金差が生じるのでしょうか。埼玉県のJR「神保原」駅と群馬県のJR「新町駅」を例に試算します。両駅間の所要時間は電車で4分、往復運賃は380円です。埼玉県の店舗を時給1,141円、群馬県の店舗を時給1,000円として計算します。
4時間勤務の場合、交通費を差し引いた実質賃金は、埼玉県の店舗の方が1日あたり184円高いと分かります。8時間勤務の場合、その差はより大きく1日あたり748円です。8時間勤務を月12回行うと、月額差は約9,000円となります。
先ほど提示した東京都と千葉県の例と比べても、群馬県から埼玉県に「越境バイト」するメリットは大きいといえます。
まとめ
今回は当社が保有する求人データを活用し、県境エリアにおける最低賃金・募集時給の差と、「越境バイト」の実態を分析しました。
2025年度の最低賃金の改定では全国加重平均が+66円と過去最大の引き上げとなりました。それに伴い、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を突破します。
埼玉県・群馬県の県境など最低賃金の開きが大きいエリアでは、月に約9,000円の賃金差が生じるケースもあり、交通費を差し引いても越境バイトの金銭的メリットは無視できません。その一方、東京都・千葉県間のように短時間勤務では差が小さくなる場合もあり、勤務時間や交通費によって実質的なメリットは大きく変わります。
物価上昇が続く中、時給を重視した越境バイトの需要はさらに高まる可能性があり、時給の低いエリアでは待遇改善など人材流出への対策が課題となるでしょう。
本件の詳細は下記URLよりご覧ください
https://hrog.net/report/134436/

